種の危機②

※ 画像はコットンの花です。雄しべと雌しべがあります

これまでもF1について何度かお伝えしてきました。2008年に綿の栽培を始めるまで、僕は、F1種という種の存在を知りませんでした。

種屋さんから買った種を栽培し、コットンボールから取り出した種を翌年に畑に播いたところ、ほとんど発芽しませんでした。不思議に思って調べたところ、F1種の存在を知ったわけです。英語では、ハイブリッドと呼ぶことも覚えました。

今季は、種蒔き用の種が集まらず大変な思いをしたので、これを機に、種についてまとめてお伝えしようと思います。コットンだけでなく、多くの家庭の食卓に上る穀物や野菜、果物にもF1種の影響は及んでいます。(後述します)

さて、F1種とはどういう仕組みの種のことでしょうか。コットンを例にして、ものすごく単純化して説明してみます。

ここによって二つの種類のコットンがあります。「正常」なコットンであれば、一つの花に雄しべと雌しべがあります。

○コットンA種の特徴は、コットンボールは小さいけれど繊維の強度が強い形質があります。

○コットンB種の特徴は、コットンボールは大きいけれど繊維の強度が弱い形質があります。

人間にとって望ましいのは、コットンボールが大きくて繊維の強度も強い形質を持ったものです。そのような形質を持つようにするには、人為的に手を加えなくてはなりません。

コットンA種とコットンB種にはそれぞれに花が咲きます。一つ花には、雄しべと雌しべがあります。一つの花にある雄しべと雌しべによって自家受粉させないように手を加えるのが、F1種の作り方です。

初歩的な方法では、コットンA種の花の雄しべをすべてピンセットで引き抜いて雌しべだけにします。その状態で、コットンB種の雄しべの花粉だけをA種の雌しべに受粉させます。つまり、完全な雑種を作るわけです。

そうしてできる雑種が、F1種であるAB種です。AB種の形質は、コットンボールが大きく繊維の強度が強いものになります。コットンボールの大きさの揃いもよくなります。これは、「雑種強勢」という遺伝の仕組みが働いています。

新しく作られたコットンであるAB種から取れた種を翌年に播くとどうなるかというと、ほとんど発芽しません。発芽して生長しても途中で枯れたり、コットンボールになっても、小さくて未熟なものとなります。

親の特徴を受け継がずに一代限りで終わってしまうのがF1なのです。雑種一代や交配一代とも呼ばれています。First and Final (最初で最後) と呼ばれるゆえんです。

なぜ、一代限りなのでしょうか? その理由は、F1種を作る技術が、生命全体の大きな循環の営みや摂理から外れた人為的なものだからです。

(続く)

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